- 「今までで一番あたたかい結婚式だったよ。
結婚式挙げてくれてありがとう」
母のその一言が、すべてを物語っていた。
会場は石川県の温泉宿「山代温泉 森の栖」
今回の舞台は、静かな森の中にたたずむ温泉宿、
「森の栖リゾート&スパ」
チェックインから挙式まで、
すべてがこの旅館内で完結する。
移動のストレスがない。
空気は美味しくて、景色は落ち着いている。
東京の喧騒とは真逆の“癒し空間”だった。
前日:飾り付けと、感謝の手紙
式の前日は、のんびり温泉に浸かって…と思いきや、
僕たちは会場の設営作業からスタート。
各テーブルに名札を置き、金沢のお土産を並べる。
宿のスタッフさんも協力的で、

これもまた結婚式の一部だな〜
と思えるような、あたたかい時間だった。
そんな中、ふと妻が言った。

参加してくれるみんなに、小さな手紙を書きたい!

おおイイじゃん!(えええ、マジか!?)
正直びっくりした。
でも、彼女はその晩ずっと、黙々と手紙を書いていた。
それも短いメッセージじゃない。
一人ひとりに対して、丁寧にびっしり書かれた手紙。

これはもらった人、絶対嬉しいやつだ…
そう思いながら、
僕も参加者に向けて
簡単な一言メッセージを書いた。
前日の夜は、静かで濃くて、あたたかい時間だった。
デモンストレーションと受付のひとコマ
式場入り後は、軽く人前式のデモンストレーションを実施。

ここで新郎入場、ここで三々九度、ここで誓いの言葉
と、スタッフさんと確認しながら進める。
この事前説明があるだけで、本番の安心感が全然違った。
そして、午後3時。
受付の友人たちが到着。

おはよう!今日は受付よろしくね!

え、なにこの会場!めっちゃいいじゃん。高かったでしょ?
心の中で

(いや、普通の式と同じくらいやで)
と思いながら、軽く笑ってごまかす。
でもその言葉が温泉ウェディングを
選んで良かったと確信する瞬間だった。
当日:朝のフォトウェディングで自然な笑顔
挙式の前に、衣装を着て
加賀温泉街でフォトウェディングを行った。
袴と色打掛姿で、石畳の路地を歩く。
衣装担当さんが

かわいい!いいね!
と声をかけてくれるたびに、
妻も笑って、僕もつられて笑って。
ポーズよりも空気感重視の撮影で、
本当に自然な笑顔があふれる写真がたくさん撮れた。
街ですれ違う人たちも

!綺麗だね!

いい結婚式あげてね!
と声をかけてくれて、
本当にこの加賀・山代温泉を選んで良かったなと心の底から思えた。
開式前の、静かな“ありがとう”
挙式が始まる少し前、花嫁とそのご両親が別室に呼ばれた。
スタッフさんの案内で、
花嫁からご両親への「ありがとう」を伝える時間
が設けられていたのだ。

今日、私たちは結婚します。
今まで育ててくれて、本当にありがとうございました。
普段、笑顔しか見たことのなかった義父が、声を震わせて涙を流した。
その姿を見て、義母も泣き、そして妻も泣いた。
それを見ていた僕も、気づいたら目頭が熱くなっていた。
結婚式は、誰かに見せるためのイベントじゃない。
家族に、心からの感謝を伝える時間なんだ。
そう、あらためて感じた。
人前式:泣いて、笑って、また泣いて
挙式は、旅館内の広間で行われた。
落ち着いた照明に包まれて、
家族と親しい友人だけに囲まれた、静かな式。
ところが、新幹線の遅延トラブルで、
妻の友人たちが挙式の途中での到着に。
スタッフさんの判断で、
そっと式場に案内されたのは、
三々九度の最中だった。

思わず涙ぐむ妻
その瞬間、妻はふいに友人たちの顔を見て、また涙をこぼした。
静まり返る式場の中で、感動がじんわりと広がった。
……と思ったら、
義家族の姪っ子がネックレスを
ぶんぶん振り回して走り回る姿が、視界の隅に。

「なんで泣いてるのー?」と走ってくる姪っ子

僕は、こみ上げる涙を抑えきれず……
笑いをこらえるのに必死だった。
これが家族婚のいいところ。
泣いて笑って、ありのままでいい。
その後の流れ
リングガール
指輪交換
結婚の宣言
祖母の笑顔に、やってよかったと心から思えた
挙式が終わったあと、そのまま
- 友人写真撮影
- 家族写真撮影
が行われた。
その後友人たちは披露宴会場へ、
残った家族は、両家の紹介。
足の悪い祖母は、披露宴には参加せず、
挙式後に従姉妹と帰る予定。
このタイミングで、ゆっくりと顔を見て話せた。
「立派な式だったね。本当におめでとう。
私は本当に幸せだよ」
祖母の笑顔が、すべてだった。
石川県で結婚式を挙げて、本当に良かった。
心からそう思った。
披露宴:感謝と笑いに満ちた時間
披露宴では、温泉宿ならではの豪華な料理が並んだ。
とにかく美味しい、量が多い、見た目も映える。
ゲストみんなが満腹で、幸せそうな顔をしていた。
【演出1】鏡開き
みんな笑っていた。
【演出2】義理のお兄さんの乾杯の音頭。
【演出3】友人スピーチ
緊張感が一気にほぐれて、場があたたかくなった。
【中座シーン】祖父母と一時退場
「この日のために元気でいてくれてありがとう」と、そっと握り返された手が忘れられない。
後半:衣装チェンジとケーキ入刀
披露宴後半は、和装から洋装へチェンジ。
僕は、両親にジャケットを羽織らせてもらいながら入場した。
ちょっと照れくさかったけど、
親に衣装を整えてもらう“逆お支度”みたいで、
なんだかじーんときた。
中座中は、
僕ら夫婦の思い出ムービーを上映した。

もちろんこれも自作!
後から聞いた話では、
特に僕のバンジージャンプや滝行、
夫婦で参加したティラノサウルスレースの
映像がとてもウケていたらしい。

いい思い出
ウェディングドレスに着替え直して、再入場。
続いて、ウェディングケーキ入刀。
王道の演出だけど、やっぱり写真映えするし、
場が一気に華やいだ瞬間だった。
ちなみに、
甘いものをずっと我慢していた妻にとって、
このケーキは「最高に美味しかった!」そうです。
プロフィールムービーが、空気を変えた
披露宴も終盤に差しかかる頃。
ワイワイと笑いの絶えなかった会場の空気が、
すっと静まり返った瞬間があった。
2人のプロフィールムービーが始まったのだ。
・それぞれの誕生日、
・生まれ育った環境
・学生時代の思い出、
・そして友人たちへの感謝と、
・ふたりの出会い。
少しずつ時が進み、プロポーズ、
そして今日に至るまでの軌跡。
BGMは、僕たちのお気に入りだったコブクロの「Million Films」。

何度も何度も見返して、
やっと完成した動画だった。

自分で作ったからこそ、
会場の反応が肌で感じられて、
本当に嬉しかった!
ムービーが終わったとき、
会場には深い余韻が残っていた。
今までの笑い声が、
優しい沈黙に変わっていた。
本気で伝える、人生で一度の“ありがとう”
そして、今回の結婚式のメインテーマである時間がやってきた。
両親への感謝の手紙の時間だ。

皆様のお時間を少しだけいただき、ここで両親への手紙を読ませていただきます。
この瞬間のために、お酒もセーブしていた。
ちゃんと声に出して、ちゃんと想いを伝えたかったからだ。

この日を逃したら、もう一生、
こんなにまっすぐに感謝を
伝える機会はないかもしれない!
そう思って、覚悟を決めて、読み始めた。
・中学生のとき、いじめられていたこと。
・ そのときに、お父さんが本気で守ってくれたこと。
・死にたいと思った夜、帰宅して迎えてくれた母の笑顔に救われたこと。
・障害をもった兄の存在を、周囲に隠してきたことへの後悔と謝罪。
・大人しすぎる弟に、恋愛テクニックをまとめた手紙をこっそり渡したけど、
実は学校でちゃんと上手くやっていたことに安心したエピソード。
普通の日なら、
絶対に言えないようなことばかり。
でも、この日だけは全部ぶつけた。
読みながら、声が震えて、何度も立ち止まって、
ついにはしゃがみ込むほどに泣いてしまった。
顔を上げると父も母も泣いていた。
ふと見回すと、会場の全員が、泣いていた。

この手紙を書いてよかったと思う
披露宴のフィナーレに、
自分の弱さや後悔をさらけ出して、
それでも、「ありがとう」と言えたこと。
あの時間があったから、人生で一番、自分らしくいられた気がする。

結婚式って、こんなにも心が動く時間なんだ
と実感した。
花嫁の手紙、そして“旅の終わりに近づく時間”
僕の手紙のあとに続いたのは、花嫁からの手紙。
たくさんの想いが込められていて、
言葉を大切に紡ぐように読んでいた。
その姿はまさに“娘から両親への感謝”そのもので、
何度も頷く義父母の姿に、また涙が溢れた。
手紙の後は、両親へ旅行券のプレゼント。
新郎父親の謝辞では、
スピーチ中に
「お金持ちよりも思い出持ち」
と書かれた紙をサッと取り出して披露したもんだから、
旅行券をプレゼントしてよかったなと心の底から思えた。

この旅行券を使って、また新しい思い出を作って欲しい!
最後のサプライズ、妻への手紙
そして、最後の締め挨拶で、
僕はサプライズの手紙を読み上げた。
- 転職がうまくいかず、
自分でも情けなくて泣いた日。 - それでも黙って隣にいて、
信じてくれたこと。 - 夏の夜、妻が熱中症で倒れて、
心配でどうしようもなくて泣いた夜。
「ああ、自分はこの人を本当に大切に思ってるんだ」
とそのとき初めて自覚したこと。
僕は心から、ありがとうを伝えた。

これから一緒に、楽しい家庭を作っていこう!
最後の言葉に、自然と拍手が湧いた。
手で作った“トンネル”をくぐって退場
披露宴のラスト、
ゲストみんなが手でトンネルを作ってくれた。
その中を、妻と一緒にゆっくり歩く。
みんなの笑顔、泣き顔、まぶしいライト。
その全部が、幸せの記憶として焼きついている。
ちなみに姪っ子も後ろに続いて通っていた笑
ティラノサウルスでお見送り(笑)
退場のあと、実はもう一つだけ仕掛けがあった。
その年の4月に参加した
ティラノサウルスレースで
使った着ぐるみを着て登場!

本日はご参加いただき、
誠にありがとうございましたァ!!
まさかの姿に、みんな腹を抱えて笑ってくれた。
結婚式の最後に、“自分たちらしい遊び心”を入れられてよかった。
最後の夜と、朝の食卓
披露宴が終わったあと、みんなは温泉に入りに行った。
僕たちはウェディング衣装にもう一度着替えて、
館内で最後のフォトウェディング撮影。
最後の1枚まで、笑顔が絶えなかった。
式を支えてくれた温泉ウェディングのスタッフさんにお礼を伝えて、ここで本当にお別れ。

最高の結婚式を作ってくれて、
本当にありがとうございました!
そのあとは、僕たちの部屋でささやかな二次会。
妻の友達と、僕の友達が一緒になって語り合う。
お酒が入って、あちこちで話が盛り上がって、気づけば深夜。
朝、みんなで囲む朝食と、終わりゆく時間
翌朝、みんなで朝ごはんを囲んだ。
旅館の朝食って、なんであんなに沁みるんだろう。
コーヒー片手に
- 「ほんと、いい結婚式だったね」と言ってくれた義父。
- 「修学旅行みたいで楽しかった」と笑っていた妻の友人。
たった1泊2日なのに、一生ものの思い出ができた気がする。
まとめ:誰かのためじゃなく、“自分たちの結婚式”を
温泉ウェディングの良さって、派手さじゃない。
ゆっくり時間が流れて、
心がちゃんと追いついて、
想いがちゃんと伝えられること。

↑本当にこれに尽きる!
準備も本番も全部含めて、
- 「やってよかった」
- 「この形にしてよかった」
と心から思える結婚式だった。

これで普通の結婚式と
同じ価格なんだから、
本当にすごいよ温泉ウェディング!
次回・最終回:「温泉ウェディングという選択肢」へ
次の記事では、温泉ウェディングの魅力を改めて整理してご紹介します。
・実際にかかった費用やサポート内容
・僕たちが「またやりたい!」と思った理由

感動の裏側にある、
温泉ウェディングの実用面の魅力もまとめていきます。
コメント